クラウドソーシングは、多くの企業や個人が手軽に外注できるサービスとして広く利用されています。
その主な魅力は、コストの低さと無茶ともいえるような超タイトな納期への迅速な対応です。
特に、ホームページ制作に関しても、クラウドソーシングを利用することで手頃な価格でプロジェクトを完了できるという期待があります。
しかし、実際には多くの問題やリスクが存在します。
ホームページは企業の顔とも言える重要な要素であり、その制作をどこに依頼するかは非常に重要です。
ここでは、ホームページ制作を成功させるためにクラウドソーシングを避けるべき5つの理由について詳しく解説します。
理由1: 品質のばらつき
クラウドソーシングの品質問題
クラウドソーシングの最大の課題は、提供される成果物の品質の低さです。
多くの場合、フリーランサーや小規模な制作会社がプロジェクトを引き受けますが、そのスキルや経験には大きな差があります。
さらに、プログラミングスクールやデザインスクールを卒業したばかりの”駆け出しフリーランサー”も数多く案件に応募してきます。
これらの駆け出しフリーランサーは、実務経験がないため、まずは実績を作ろうと手当たり次第に案件に応募する傾向があります。
ちなみに下記はとあるクラウドソーシングの案件募集ページです。
そこまで高額でもない案件に100名近くの応募があります。
彼らの主な関心は「まず案件を獲得すること」であり、実際の納品プロセスやクライアントとのコミュニケーション、最終的な納品物の品質については十分に理解していない、あるいは考慮していないことが多いです。
そのため、彼らが作成する制作物には様々な問題が生じることがあります。
例えば、デザインの一貫性が欠けていたり、コードのクオリティが低かったり、WordPressを使用したサイトではセキュリティ対策が全く考慮されていないことなどが考えられます。
このようなクラウドソーシングの状況により、完成したホームページが期待とは大きく異なるといったトラブルが後を絶たないのが現状です。
評価システムの限界
クラウドソーシングでは評価システムが一般的に導入されていますが、その信頼性には限界があります。
評価やレビューが操作される場合もあり、実際のスキルレベルを正確に把握するのは困難です。
特に「実績」や「ポートフォリオ」を参考にする際は注意が必要です。
他社サイトの画面キャプチャを自分の作品として掲載し、実績を捏造する応募者も存在します。
実績を信用して依頼した結果、受注者のスキルが伴わず、予想以上に手直しや修正が必要になることがあります。
これにより、初期の低コストというメリットが消えてしまうことも少なくありません。
複数プロジェクトの進行
クラウドソーシングのプラットフォーム側にも改善の余地があります。
特に報酬額が非常に低く設定される傾向が見受けられ、時には制作会社に依頼する場合の10分の1程度の金額で募集される案件もあります。
そのため、受注者は薄利多売を余儀なくされ、複数のプロジェクトを同時に進行しなければならないことが多いです。
結果として、一つのプロジェクトに集中できる時間が限られ、進行が遅れたり品質が低下したりするリスクが高まります。
理由2: コミュニケーションの難しさ
オンラインコミュニケーションの限界
クラウドソーシングのもう一つの大きな課題は、コミュニケーションの難しさです。
フリーランサーとのやり取りは主にオンラインのテキストコミュニケーションを主に行われるため、対面での詳細な打ち合わせができません。
これにより、プロジェクトの目的やデザインの意図を正確に伝えることが難しくなります。
特に、ホームページ制作のように細部にわたる仕様が重要なプロジェクトでは、コミュニケーションのミスが大きな問題となります。
意図の伝達ミス
たとえば、デザインの好みや機能の要件がうまく伝わらず、完成品が期待と大きく異なることがあります。
詳細な要求を文書で伝えるだけでは、微妙なニュアンスや具体的なイメージが伝わりにくく、結果として認識のずれが生じることがあります。
これが修正作業の増加やプロジェクトの遅延につながることもあります。
言語の壁
言語の壁も無視できません。
クラウドソーシングの応募者の中には日本語を使い、日本語名で活動しているが、日本人ではない人たちが数多くいます(恐らくお隣の大陸の人たち)。
そのため、共通の日本語という言語を使っていてもコミュニケーションが難しい場合があります。
細かなニュアンスや専門用語が正確に伝わらないことで、プロジェクトの方向性にズレが生じることがあります。
特に技術的な要求やデザインの詳細を正確に伝えることが難しくなるため、期待した結果が得られない可能性があります。
理由3: プロジェクト管理の不確実性
ディレクターという存在の不足
クラウドソーシングを利用する場合、プロジェクト管理の不確実性が大きなリスクとなります。
その一因として、プロジェクト全体を監督するディレクターの不在が挙げられます。
通常、プロの制作会社ではディレクターがプロジェクトの全体像を把握し、各メンバーの役割を調整しながら進行を管理します。
しかし、クラウドソーシングではこのような役割が不在であることが多いです。
プロジェクト管理ツールの不足
さらに、クラウドソーシングでは、クライアントと受注者の間に明確なプロジェクト管理ツールやプロセスがないことが多いです。
そのため、進捗状況の報告や問題発生時の対応が遅れることがあります。
プロジェクトが予定通りに進まない場合、追加のリソースやコストが発生し、最終的には初期の予算を大幅に超えることがあります。
突然のコミュニケーション断絶
さらに、受注者が突然連絡を絶つ、いわゆる「飛ぶ」ケースもあります。
これにより、プロジェクトが途中で頓挫し、新たに別のフリーランサーを探して最初からやり直さなければならない状況に陥ることもあります。
このようなリスクを回避するためには、信頼性の高いプロジェクト管理体制を持つ制作会社やフリーランサーに依頼することが重要です。
理由4: サポートとアフターケアの欠如
完了後のサポート不足
クラウドソーシングでは、プロジェクトが完了した後のサポートが不足することが多いです。
そもそもクラウドソーシングでは、最初の依頼内容以外は全て追加で募集を行う必要があります。
たとえば、最初の依頼でサイト制作業務のみの募集をしていたのだとしたら、サポート業務の募集は別で依頼しなければなりません。
そのため、制作を依頼したワーカーにサポート業務も依頼したい場合は、そのワーカーに対して「直接依頼」という形で新たに契約する必要があります。
しかしながら、ホームページ制作は完成がゴールではなく、運用開始後のサポートやメンテナンスが非常に重要であるため、発注者側がこの部分の仕組みを理解していないとトラブルが発生した際の対応が困難になります。
緊急時の対応の遅れ
例えば、サイトの更新や機能追加が必要になった場合、制作時に依頼したワーカーを再度探して依頼しなければならず、その際の対応が遅れることがあります。
特に、緊急時のトラブル対応が迅速に行われない場合、ビジネスに重大な影響を及ぼすことがあります。
ワーカーが他のプロジェクトに忙殺されている場合、対応が後回しにされるリスクもあります。
継続的なサポート体制の不在
とはいえ、クラウドソーシングのワーカーは短期的なプロジェクトに集中する傾向があり、長期的なサポートを提供する体制が整っていないことが多いのも事実です。
このような状況を避けるためには、継続的なサポート体制が整っている制作会社や経験豊富なフリーランサーに依頼することが望ましいです。
彼らは、長期的なパートナーシップを前提としたサポートを提供するため、安心して運用を任せることができるでしょう。
理由5: 信頼性の低さとトラブルリスク
契約遵守の不安
クラウドソーシングには、ワーカーが契約を守らないリスクがあります。
契約期間内にプロジェクトが完了しなかったり、品質が期待を大きく下回る場合があります。
こうした問題が発生すると、クライアントは追加の時間とコストを費やして修正する必要が生じます。
クオリティの不安定さ
ワーカーのスキルや経験にはばらつきがあり、納品物のクオリティが安定しないことが多いです。
これにより、同じプロジェクトでも期待通りの成果物が得られない場合があります。
品質のばらつきは、クライアントのブランドイメージやビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。
突然の連絡断絶
先にも説明しましたが、クラウドソーシングでは、ワーカーがプロジェクトの途中で突然連絡を絶つこともあります。
このような事態が発生すると、プロジェクトは中断され、再度人材を探して最初からやり直さなければならないことになります。
これにより、プロジェクトの進行が大幅に遅れるリスクがあります。
支払いのリスク
クラウドソーシングサービスの多くでは、クライアントがサービス側に報酬を前払いとして預け、検収が完了した後にワーカーに支払われる仕組みが一般的です。
このため、報酬の持ち逃げを心配する必要はあまりありません。
しかし、手数料を削減するためにクラウドソーシングの外で契約を持ちかけられることもあります(これは通常、規約違反となります)。
こうした提案を受けた場合、十分な信頼関係が構築されていない限り、慎重になるべきです。
特に、納品物が期待に沿わなかったり、ワーカーが契約を履行しなかったりすると、クライアントにとって大きな損失を招く可能性があります。
まとめ
クラウドソーシングには手軽さやコスト面でのメリットがありますが、最近ではほぼ無法地帯に近い状態となっており、初心者(クライアント)が初心者(ワーカー)に依頼する構造が主流になっています。
そのため、報酬額も業界の相場から考えられないほど低くなっており、まともな制作会社やフリーランスはクラウドソーシングを利用しないと考えてよいでしょう。
また、「駆け出しフリーランサーの実績作りの場」としての側面もあるため、その点を理解した上で、それでも構わないという場合のみ、低価格で依頼する場としてクラウドソーシングを活用する方法もあります。
つまり、「安かろう悪かろう」を許容できないのであれば、クラウドソーシングの利用は避けるべきです。
ホームページ制作を依頼する際には、クラウドソーシングの魅力に惑わされることなく、Web検索やSNSを活用して信頼性の高い制作会社やフリーランスを見つけることが重要です。
確実な成功を目指すために、専門業者への依頼を検討することをお勧めします。